危機的状況下におけるリーダーの条件とは

 今日、日本は、発生国である中国や韓国に次いで、新型コロナウイルスの感染者を出し、日本は危機的状況に陥っている。まさに、「国難」である。この「国難」と言うべき状況を乗り切るには、「完全無欠のリーダー」の存在が必要とされる。

 

 危機的状況下におけるリーダーとしてのあり方は、平常時とは全く異なる。一旦、危機が発生すれば急激なスピードで進み深刻化する。そのなか、限られた時間や能力のなかで、迫り来る危機に冷静に対応しなければならない。

 

 また、さまざまな情報が飛び交うなかで、情報を分析し対応策を考え、決断し、周知徹底させた上で、必要とされる機能を持った対応チームに必要とされる設備や装備、予算、権限などを与え対応行動をとらせなければならない。まさに、時間との勝負になる。

 

 従って、完璧な情報を待っていたり、全員が合意できる対応策を議論してから決断する時間はない。更に、個々や組織の利害やメンツにこだわることは、本末転倒となり共倒れになる可能性がある。

 

 更に、刻一刻と深刻化する危機に対応するには、例え不完全と思われる情報であっても、その情報の中から、優先順位を決定し、よりましと思われる対応策を実行し、その結果を見ながら、次の対応策を生み出し実行するというサイクルを繰り返し行うことが必要である。

 

 とにかく、眼の前で起きている危機を乗り切るために必要なことは、組織の壁や利害、地位や名誉、メンツ、そして業務手続や規則にとらわれることなく、リーダーの決断と指揮に従い、全てが一丸となり行動しなければならない。

 

 ボトムアップ型リーダーでは危機に対処できない。一部の反対があっても決断し、全員に行動させるだけの決断力と実行力のあるトップダウン型のリーダーでなければならない。

 

 従って、リーダーは一部から非難を受けることも覚悟し、冷徹に的確な決断を適時にできる使命感と総合判断力が求められると同時に、時には、その結果に対し責任を負い辞任する覚悟も必要とされる。また、危機打開のために、部下に犠牲的な行動を求めなければならないことも頭に入れておかなければならない。

 

 しかし…いまの政権は、危機に振り回され、情報に翻弄され、やる事なす事の全てが後手に回り、踏んだり蹴ったりの状態が続いているうえ、今の危機的状況を冷静に判断できる能力もなければ、それに耐えうる忍耐力も無い。

 

 はっきり言うなれば、この「国難」とも思われる危機的状況を乗り越えるリーダーとしては相応しくない。

 

 29日の記者会見において、安倍総理は、「率直に言って、政府の力だけでこの戦いに勝利することはできない」と述べ、感染の終息に向けて国民一人一人の協力を呼びかけた。

 

 この事から、「私の力ではこの国は救えません」と言っているのと同じ。もし、今が戦国の世だとしたら、白旗を上げた城主に対して民は何を思うのだろうか。