日本沈没

 政府基本方針で、入院を要する重症患者のみにPCR検査をするとしましたが、これって人体実験に等しい。病院や医者の役割は、病が重症化する前に検査を行い、必要であれば治療する。重症化を未然に防ぐよう努力するのが、本来の使命である。

 

 今回の政府基本方針はどれも抽象的な内容であり、国民を今まで以上に混乱に巻き込んでしまったようだ。すでに国民は、何が正しい情報で何が正しくないのかの判断もできていない。マスコミが流す情報が各社によって異なることも混乱の原因でもある。

 

 何度も言うが、感染者増大の原因は日本政府の危機管理の欠如と水際対策の失敗に尽きる。

 

 神戸大学の岩田健太郎医師のYouTube映像を通じての告発が話題になり世界を揺るがした。岩田医師は、「そもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が1人もいない」「やっているのは厚労省の官僚たち」にすぎない伝えた。

 

 そもそも、日本にCDC(疾病管理予防センター)がない。米国においては、本部7000人、地方と海外の支部8500人、計1万5500人の様々な分野の専門家がいる。予算も日本円で1兆5000億円。それに対して日本のそれに当たる国立感染研究所は人員306人、予算41億円。これが、我が国の現実である。

 

 安倍晋三首相を長とする政府の対策本部においては、1月30日に創設されて第1回の会合を開き、以後2月8日までに11回を重ねていたが、官邸ホームページの記録を見ると、その11回すべてが短くて10分間、長くて15分間で終わっている。

 

 中身は、厚生労働省をはじめ他の関係省庁からデータなどをまとめた紙が1~2枚配られて説明があり、それを受けて安倍首相が役人が書いた挨拶の原稿を2~3分程度読み上げて終わる。やっているフリを演出する、単なるパフォーマンスにしか過ぎない。