ブロードリンクのデータ流出問題

 個人情報を含む神奈川県の大量の行政データが蓄積された18個のハードディスクドライブ(HDD)が、ネットオークションで転売されていた。「世界最悪」といわれる個人情報流出事件に発展した問題である。HDDの破棄を委託されていたのはブロードリンク。

 

 2014年時点での顧客リストには、三菱UFJ銀行三井住友銀行といった大手銀行、日本生命などの保険会社、東証はじめ大手証券会社、日産グループ各社をはじめとする自動車や機械メーカーのほか、運輸・電力・不動産などのインフラ企業、さらに、NHKテレビ朝日時事通信小学館といったマスコミ、最高裁をはじめとする司法機関、防衛庁東京地検などの官公庁、加えて大阪大学京都大学一橋大学早稲田大学といった、機密事項の流出が懸念される組織も含まれていた。

 

 流出した神奈川県庁のHDDは18個だったが、オークションに出品し落札された記憶媒体は、3904個に及んでいる事から、更に流出が拡大することは間違いない。

 

 「情報資産」の価値とは具体的に目で見える形では認識されにくく、情報の「価値の高さ」について実感がない。江戸時代の商家では「火事になったら、大福帳だけは持って逃げろ」と言われた。また、大福帳は水戸藩内で作った和紙で作られたものを重宝する商人が多かった。紙が厚手に作られており、水につけても紙はもとより墨で書いた文字も消えないと言う利点があった。

 

 現代では、会社内のあらゆる情報がデータベース化されているので「情報資産」の重みは増し、データが流出すれば会社の資産のほとんどが失われる危険があるといってもいいくらいである。